ウクライナの自動車事情 《購入編》

ウクライナの自動車事情 《購入編》

日本に5年弱帰国していましたが、その時は北海道に住んでいたので車は必需品でした。その名残からウクライナの地方に住むにはやっぱり車がないと不便。。道が悪く、コンクリート整備されていない道にはいたるところにコンクリートの破片や突起物があり、しっかりした靴を履かないと危ない思いをします。

かといって新車は買えない。。そんなことから今回ここスーミで中古車を探すことにしました。

 

車はHONDA Fit。過去に車を所有したことがなかったので、保険や自動車税、車検、ガソリン、北国マストのスタッドレスタイヤなど何だか所有しているだけでお金がかかって、車の維持費を考えながらも、地方に住む以上車なしだと動く範囲が狭くなるので仕方のない出費でした。

 

ウクライナに来てからの所感。HONDA Fitの売却額は激安すぎる。

そのFitは、両親が買い替えのタイミングで不要になったので譲ってもらったものでした。2008年製の車で、普段使いに近所へ買い物に行く時使用していたので走行距離も少なく良い状態。パーツの角にちょっとサビが出ているくらいで走行自体も何の問題もなく、ナビやパーキングアシストがついていて、長らくペーパードライバーだった私も何とか乗れており、古めかしい感じはしませんでした。

 2008年製のHONDA Fit。イエローカラーが可愛くて好きでしたが、中古に出すとこのカラーが不利になってしまう。

 

昨年またウクライナに戻ることになり、不要になってしまった車を中古車業者へ売ることに。

その価格はズバリ5万円。私は全く知識がなかったのですが、車は13年を超えると自動車税が増税されるらしく、車自体の価値が更に下がってしまうこと。そもそもコンディション以上に車の年数によってどんどん価値がなくなること。また北国で嫌われるFF車、ブラック、ブルー、ホワイト、シルバーなどのスタンダードなカラーではないこと。スクラップにせずに売却しますので、これが現実です。とのお話でした。

時間もあまりなく、そんなものかと思い手放したのですが、これって自動車大国の日本特有のものでしょうか。海外のボロボロの車なんてまず車検が通らない!

ウクライナ人の夫は自国での車の価値を知っているので「wwwwーーーーアンビリバボー!!」と首をひねっていました。

あの車、今ここにあったら多分5,000~7,000$で売却できたと思います。。1/10以下。。

道内で売買すると言っていた中古車業者さん。条件が悪いからといって「スクラップにはなりませんから!」と連発していました。

 

そういえば昔ウラジオストックで出会った知り合いの友達が、日本で買い付けた中古車をロシアへ輸入・運搬する船の乗組員として働いており、ウラジオから小樽まで船で出向き、そこで車をピックアップするといっていました。

あの車、イカしたウラジオストックの美女が颯爽と乗りこなしていればいいなあー。

 

ネットで検索。中古車購入。

そんなこんなでこちらも良い季節。ドライブに行きたいです。

まず最初はネットで中古車探しを開始。販売場がありますが割高らしいので大抵は知り合いのツテかネット専用サイトで探します。今回車を購入するにあたり目星をつけていたのが、韓国産のDaewoo Matiz(デウー/マティス)。日本にいる時には馴染みがありませんでしたが、低価格の電化製品を製造するメーカーで車もGM傘下のブランドで売られています。軽自動車並みのサイズですが馬力は少し大きく796cc。

近場の買い物に便利そうでコンパクトなサイズ感、タウンユースとして人気があるそうです。

そう、うちの炊飯器はDaewoo製です。

 

こちらの物価を考えるとどうしても割高な気がする、Daewoo Matizを購入する

中古車専用サイトは個人で売りたい車を公開するメルカリのようなもので、購入するエリア、欲しい車のメーカー、車種、マニュアル/オートマ等など入力します。

今回は車種を決めていたので、スーミで販売されているMatizのオートマをサイト内の項目に記入しました。

       automoto.uaという中古車サイト。 Matizの該当ページのスクリーンショット。ドルで検索できる

条件にあったのが2台。

そのうち1台はスーミの中心地から40km程先にある小さな町で売られていたグリーンのMatizで、2007年製17万キロ!走行です。夫の友人の車で案内してもらい、車のコンディションをチェック。

3,100$、色はオシャレなのですが見るからに使い込まれた外装でエンジンも土埃が。。サビも目立ちこのコンディションでこの価格。。日本の市場では決してみられない状態です。ウクライナは自国で開発された国産自動車メーカーを持っておらず、車は主に海外製か、輸入中古車で占められています。

いまだに正真正銘のソ連製ЛАДА(ラーダ)やВАЗ(バーズ)が現役で町を走っている姿を頻繁に目撃できます。

現役のソ連製「ВАЗ」。ЛАДА同様至る所で走っている姿を見かける。

 

その後、スーミの中心街で売りに出されていたもう一台の赤いMatizを確認。こちらは走行距離5万キロの2011年製で、エンジンルームもきれいでバンパーに傷やカケはあるものの、全体的なコンディションが良く、4,200$→3,800$に値引きしてくれたのでこちらに決めました。

購入のタイミングによりますが、これは決して悪い条件ではなく、むしろ好条件だったようです。

2008年製HONDA Fitを運転していた身としては、2011年製のMatiz、30年くらいタイムスリップした気分です。。内部のつくりが全体的にちゃっちいような。。。

        軽自動車枠の3400×1840mmを少し超えたサイズ感。荷物はほとんど載せられません。 

            タコメーターのないスピード計。リアガラスに写り込んだ空が綺麗。

自動車には普通タコメーターが標準装備されているはずですが、スピードメーターしかなく、後部座席の窓はパワーウィンドウではなくクルクル回すタイプのもので下まで全開しません。ドアの鍵やサイドミラーもプラスチック感満載で、リアガラスは細かい謎のヨレがありバックミラー越しに少し見えずらいです。

もちろん私は強烈なパトリオットではありませんが、車好きの父親からずっと聞かされていた日本製の車のクオリティを再確認し、ウクライナに来て初めて感じるがっかりな出来事でした。日本での当たり前、ウクライナでは通用しません。。

いろいろな手続きが猥雑だったり、日本で生活するようにスピーディーに動いている環境と違うことにはすっかり慣れているはずでしたが、高価格帯の工業製品のクオリティーが低いのは本当に凹みます。

それはそれとして、燃費もいい小回りの効くMatizは見た目がかわいいので良しとしましょう。前向きに!と思って車の詳細を調べてみたら、なんとイタリア工業デザイナーの巨匠 G.ジウジアーロのデザインでした!フォルクスワーゲンの初代ゴルフ、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のデロリアンをデザインした人です!

なんか急にテンションアップ! 一転この車を愛そうと思います!!

 

中古車購入決定後の流れ

今回購入した車の所有者はとある女性のようで、その仲介役として中古車の諸手続きを行うおじさんとやりとりをすることになりました。ロシアやウクライナの田舎のおじさんにありがちな温和で人懐っこい雰囲気がありながら、ふとした表情の中に利発さを備えた面白い人でした。コネが幅をきかせるウクライナでは組織の狭間に顔が効く人と一緒にいると、通常の倍速で物事が早く進みます。

まず、売り手の売買の条件はドル建て一括で支払うこと。

ウクライナの銀行プリバットバンクで、ドルをキャッシュで受け取るための予約を行います。専用のWebサイトもしくはアプリケーション内のフォーマットへ進み、受け取る銀行支店と日時を記入します。今回は最短で受け取りたかったので2日後となりました。

※ウクライナでは自国通貨のグリブナが安定していない通貨ということで、自国民ですらまとまった金額のやりとりの際にはグリブナでの支払いを嫌がります。ドルは比較的安定しているため、リスクをさけている格好です。

キャッシュでドルを受け取った後、仲介役のおじさんに連絡をいれて手続きをする日を段取ります。警察署と提携している自家用車の登録や名義変更などができる「ЕКСПЕРТЦЕНТР=エキスパートセンター」へ向かいました。

このブログを書くために、私も一緒についていくことにしました。

 

諸所手続きを1日で終える。

その日の朝、購入する車で自宅のそばまでやってきてくれた仲介役のおじさんと一緒に、中心街より少し離れた警察署の隣にある「ЕКСПЕРТЦЕНТР=エキスパートセンター」に到着。大元の車の所有者が記入した正式な代行承諾書と、今回購入する自動車に関する書類一式、おじさんと夫のそれぞれの国内パスポートと運転免許書が必要となります。

           「ЕКСПЕРТЦЕНТР=エキスパートセンター」前に集まる人。

            エントランスのタイルが剥がれようが知ったことではない感じ。

建物手前の駐車場にはわらわらと人が集まっており、順番待ちに時間がかかりそうだと思った矢先、さすがは手馴れたおじさん。関係者と思われる人々と挨拶を交わすや、待っている人を尻目につかつかと事務所に入っていき、ごく自然な形でさらっと割り込んだようです。あれれ?となるところがなぜか憎めない愛嬌を感じてしまいました。苦笑)

 

興味深い、中古車業界の話。

ちょっと話はそれますが、聞いた話を紹介します。

ウクライナで販売されているヨーロッパから輸入された中古車は、様々なサイトから直接買い付けたものや国際間に存在する中古車ディーラーを介すものなど様々らしいのですが、リトアニアからの輸入品がいいとのこと。

これにはカラクリがあり、EU圏で購入した車をウクライナに直接輸入する際に掛かる自動車の関税が500ユーロだとすると、バルト三国であるリトアニアからの関税が23ユーロらしいのです。その差額が利益に関係してくることから、EUからの中古車をキャリアカーでリトアニアへ一旦入国させた後、諸手続きを踏んでウクライナへ輸入するといったシステムが存在しているとのこと。

特にドイツでは今年6月にメルケルが発表した、EV車購入の際6000ユーロの補助を出すなどして買い替えを促す一方、ガソリン車の輸出を積極的に行っているようです。

そうやってEUが排除を進めるガソリン車は周辺の後進国へ流れていくのです。

これって本当に環境問題のためなのでしょうか。なんだか違う気がしてしまうのは気のせい?

今回購入の車はウクライナ国内での売買です。

 

手続きは午前と午後に分かれる。

そんな雑談を交えつつ1時間くらい待ってから順番が来て、エキスパートセンターから警察へ提出する書類の確認とサインが完了。今度は警察署での手続きに移ります。

その予約が午後になったので、購入する車は警察署のパーキングに置き去りにして一旦家へ送ってくれました。ちなみにおじさんの愛車はおなじみ日産マーチ。こちらではMicraという名で販売されていて人気の車種です。

         警察署エントランスの外観は綺麗。コロナ対策のためか外に椅子が並べられています。

約2時間半後に再び戻ってから今度は警察署へ移動です。車の名義変更に関する申請書の記入と、新しいナンバープレートの購入予約などをします。個室で行われたので私は中には入らず外で待機。

その後車体のチェックを行います。エキスパートと背中に書かれた作業員がボンネットを開けて車体番号とエンジンの番号をデジカメでパシャリ。車内のシート横に記載されている番号も撮影していました。ここでもおじさんはチェックポートの手前から鮮やかにさらっと横入りで5台抜き。横柄な感じもなく横入りした後ろの車のオーナーにも気さくに話しかけていて、誰も気に留めてない様子でした。こういうところがアバウトだけど寛容でいかにもウクライナっぽいです。笑)

                                                 車体の検査を待つMatiz。横には日産マーチならぬMicra。

 

最終工程

それが完了すると古いナンバープレートを自分たちで外して、再び警察署へ戻って最終的な売買契約書をお互いのサイン入りで3通作成します。売り手と買い手と警察署の保管用です。旧ナンバープレートは返却します。しばらくすると別の窓口に呼ばれて新しいナンバープレートを受け取り、再び自分たちで取り付けて完了。その駐車場で売り子が販売している自動車任意保険に加入。

手続きにかかった費用を最初のエキスパートセンターへ支払い、最終的にドルのキャッシュを仲介役のおじさんに渡して、全て完了です。

本日の手続きにかかった費用は計≠15,000円 + 自動車本体の3,800$

手馴れた仲介役のおじさんから購入できたことはラッキーでした。素人同士の売買だと一から書類をそろえるための確認に何時間も待たされ、更に本番の手続きなど1日では絶対に完了しなかったはずです。コネと人脈の大切さを改めて体感する出来事でした。

 

車購入で一番大切なことを忘れていた「うっかり」ぶりに自分自身驚く。

日本から出国する際に、必要なウクライナビザの手続きや、日本でのいろいろな手続きなどに気をとられて、夫がさらりと言った日本の運転免許はウクライナで使えるはず。という根拠を確認もせず、国際免許証の取得を無視してしまいました。それさえあったら私もすぐに運転できたのに。。

ウクライナ日本大使館に問い合わせたところ、国際免許証なしでは基本的に運転はNG。日本に帰国の際に国際免許証の取得をする。もしくは永住権を取得できた場合、取得日から60日間は翻訳を一緒に携帯すれば運転は可能。その後はウクライナ国内の免許と引き換えに日本の運転免許証を没収。コロコロと詳細が変わるので最終的には警察署で確認を!とのこと。コロナ禍の中で帰国する予定もないので、しばらくは夫に運転をまかせることにします。

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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