ウクライナでの新型コロナウィルスの状況。地方都市で感じる雰囲気は?

ウクライナでの新型コロナウィルスの状況。地方都市で感じる雰囲気は?

ウクライナで今年初めに新型ウィルスによって検疫措置が施行されてから、現在までのことをさっくりお伝えしてみようと思います。移住した後に日本領事館に在留届を提出することで、領事館より私の登録メールアドレス宛に国の状況が届くようになっており、現状はこのメールによって新型コロナウィルス関連の正確な情報を得ています。

 

ウクライナの新型コロナ感染者数(2020年8月18日現在)

Googleニュースに感染者数の情報が掲載されています。

Coronavirus (COVID-19) – Google News

See the map, stats, and news for areas affected by COVID-19 on Google News

現時点でのウクライナでの感染者数は94,436名、死亡者数は2,116名となっています。

ウクライナの人口は4198万人。

日本での感染者数は56,717名、死亡者数が1,112名とのことで、二国を比べると感染率も死亡者数も高いことがよく分かります。ウクライナ領事館からのメールの内容によると、やはり医療関係者の感染が多いらしく先月末の時点では8,000人を超えている模様。致死率は2.5%だそうです。

私が暮らしているスーミ(スームィ)の感染者数は783名、死亡者数10名。

全国で毎日ほぼ800人の新規感染があるとのこと、これも先月の話なので8月末はもっと増えている可能性があります。

 

夏になっても依然として感染拡大中。

統計を見る限り感染者の多い上位5地域は西側に集まっており、初期段階で行われた都市封鎖の際に東ヨーロッパからの出稼ぎ労働者の帰国や、人の移動が普段から多い場所での感染拡大が見て取れます。島国日本と違い大陸続きの国は、国境周辺と主要産業や物流・それに伴う人の動きによって、ウィルス拡散のリスクが高まり必然的に感染者が多くなっています。

ウクライナの感染多発エリアのマップ

      感染者数が多い地域トップ10を表示。西側に集中している。東側で顕著なのはハリコフのみ。

キエフ(マップ上の中心より上あたりの○がキエフ)は国内で感染者数が一番多い訳ではなく、首都だからと言って必ずしも最も感染拡大しているといったことではないようですが、人口が多い都市部は先月から感染拡大が続いているということなので、外部からというより身近なところで伝染しているのでしょう。

 

新型コロナウィルスのニュースが大きくなっていた頃。ー半年前

今年の初めに起こった中国での新型ウィルスのニュースを見ていた私が一番心配になったことは、世界情勢が経済も含めて不安定化するのではないかということ。

ウクライナに再移住した経緯は一番最初のブログに記載したので、ご興味ある方はこちらへ!

ロシアとの紛争が激化していた2014-15年を思い出してしまう

日本に帰国する少し前のウクライナ国内の沈んだ空気感をまた感じたくない!というのが一番の感情。その当時は新型ウィルスの猛威とは違う状況下でしたが、刻一刻と人々が忙しなくなっている様を肌で感じていましたし、買い物に行くと何故か買い占めに近い状況で塩や砂糖を何キロも購入している人を目撃したり、自国通貨急降下のせいかキエフ市内では普段から目にする機会が多かった高級車の数が急激に増えていたり。何だか人々の視線自体が鋭くなったようで、今まで目撃した記憶がない街で見かける迷彩服に身を包んだ戦場帰り風の若者の姿も、平常時ではないことを実感させるものでした。

お金持ちも一般人も、普段はのんびりしている雰囲気から一変した様子は、紛争拡大の恐怖と共に心理的にガツンとのしかかる、生活自体を脅かす黒っぽいモヤのようで、全く落ち着きませんでした。今回の検疫措置は6年前を思い出す出来事でした。

 

まだ寒かった2020年3月、マスクが買えない!

冬場はどうしても引きこもり状態になるので、元々濃厚接触する人数が少ない。

近所へ買い物に行く際に気をつけていたのはなるべく公共物に触れないこと。それから何と言っても『風邪を引かないこと』でした。気管支の弱い私は風邪をこじらせると咳が出てしまい、それが長引くと本当に大変な思いをする上、マスク着用でも外で激しく咳をしていたらどうなることやら。。

ウクライナではマスクを使用するのは病院内部以外ではほぼなく、(入院病棟への付き添いや見舞い以外使用した記憶はなし)家にストックなど用意してはいません。

いざ国内でマスク着用が義務化されると、国民全員がマスクを買う羽目になるわけで、そもそも一般国民分のマスクがストックされていたのかも怪しい限りですが、近所のお店はすべて完売で不織布マスクを購入することができませんでした。だいぶ以前に購入して救急箱の奥に突っ込まれていた、たった1枚のマスクを買い物の際に夫が使うという状態で、私と子供のマスクはパンツゴムと家にあった木綿の布地で手作りすることになりました。     家にあった木綿の布地でチクチク手縫い。ウクライナの美女はクールなブラックのマスクがお好みのよう。   

 

ウクライナ政府が国外に寄贈したマスクの枚数は変だった。

中国での感染拡大の後イタリアに飛び火した新型ウィルスのために、ウクライナ政府が迅速に使い捨てマスクを緊急物資として送ったそうなのですが、国民がそれによって購入できないとは。。また、その担当者がマスクを海外に売りつけ私腹を肥やしたんじゃないか疑惑まであるという、そんな噂すらありなんだかモヤモヤしていました。

その後不織布マスクは簡単に手に入れることができるようになりましたが、せっかく手作りしたので現在でもそのマスクを使用しています。

 

ここスーミ(スームィ)では「コロナウィルスの感染」はほぼ他国の話

スーミは英語表記でSumy、ロシア語でСумы、 ウクライナ語でСуми、私はいつも分かりやすいようにスーミと書いていますが、発音は『スームィ』が正しいです。

ここスーミから170km程南東にいったところに「ハリコフ(ハリキフ)」というウクライナ第二の都市で物流や重工業・医療機関が発達している街があり、ウクライナ東部でも感染者数がどんどん拡大しています。※感染者マップに記載のある、東側で一番感染拡大が続いている都市

幸いなことに、ソ連崩壊後スーミはハリコフのように国の重要地域ではない一地方都市だったおかげ?!でロシア紛争の際にも危険地域にならず、人や物の流通が活発ではないことが幸いして大規模な新型ウィルスの感染拡大も起こっていない状況です。

 

    屋外とはいえ、何だか皆さん集合しすぎじゃないですか? スーミ政府の広場前に集まる人々

 

そんな状況下なのでそもそも住民のウィルスに対してのリスク管理は甘そうな気がします。

検疫措置が始まった当初少しは意識していた人々も、徐々にソーシャルディスタンスは体裁のみ、マスク購入が難しかったこともあり使い古したマスクの人多数。その後は屋外でマスクを着用している人はほぼいない状態。

ソ連崩壊時の痛みを知っている世代は、ちょっとやそっとのことでは動じない強さがあるのか、そもそも目に見えないものに対して寛容なのかは分かりませんが、買いだめのパニックや、明らかにイライラしている近づきたくない人や、失業者による暴動など、考えられるネガティブな要素に今の所は出くわしていません。

当初中国武漢で発症した新型ウィルスだったので、ザ・アジア顔の私へのヘイト行為なども心配しましたが、ただの杞憂に終わったのでとりあえず一安心です。

 

爽やかな夏の始まりからは、マスクは儀礼的に使用している感じ。

感染拡大が進む中1年のうちで一番良い季節が始まり夏になったので、検疫措置のためか仕事も自粛の影響があるのか、長期の夏休みのようなゆったりした雰囲気が流れています。

レストランは特に規制はなさそうで、バーやクラブは人数規制があるようです。町の中心部にある市場も買い物客で賑わいを見せており、動画撮影をしていてすっかり忘れていたマスク未着用も誰にも咎められない状況でした。

      市場や街の様子。殺伐した雰囲気はない。商品の品揃えも問題なし。

ある暑い日中に近所のスーパーの入り口のドアを開けたら、上半身裸でハーフパンツにビーサンだけの若者がしっかりマスクをした状態でビールを抱えて出てきた時は、その変なギャップにちょっとニヤケてしまいました。

 

領事館からのメール内容は楽観視できないが、この秋からどうなるのか。

知り合いのお友達がコロナウィルスに感染したらしく、それが発覚する直前に二人は接触があったとのこと。(日本も合わせて)特定の感染者として私自身初めて聞いた話です。

緊張感のない手作りマスクをしているだけで、手洗いうがいはしているものの、衛生環境が日本のように整っていると思えない国では、やはり自衛していくしかないと思います。

私も久々の爽やかな夏を満喫していて、病院では感染者が収容され続けていることにさほど危機感を持てずにいます。寒くなってきたら急に恐ろしくなってくるのかも。経済への打撃も現時点ではうかがい知れません。

 

今後、新型ウィルスに関して秋の様子もお伝えしたいと思います。

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

ここウクライナからなるべく明るい話題で、SACHIALE Lifeをお届けしていきたいと思っていますので、ぜひ当ブログにお越しください。

Youtubeもアップしたいのですが、なかなか進まず。。

日本は猛暑のようですが、体調だけは気をつけてお過ごしください!