肉と野菜の旨味を堪能!ウクライナ料理『ボルシチ』レシピ

肉と野菜の旨味を堪能!ウクライナ料理『ボルシチ』レシピ

赤いスープの「ボルシチ」はロシア料理だと認識している方も多いと思いますが、肥沃な大地で収穫された野菜を使用したウクライナ料理とされています。

赤い色の正体は、以前当ブログでご紹介した赤カブの「ビーツ」の煮汁です。レストランで提供されるボルシチは大鍋で長いこと煮込まれているので味に深みがあり、肉のエキスと野菜の出汁が十分に溶け出したとても美味しい具沢山のスープです。

 

「ボルシチ」はウクライナの家庭料理として『ド定番』なメニュー

各家庭にある一番大きな鍋を使って作る、ボリューミーで栄養満点な家庭料理として定番のメニューで、翌日には味が馴染んで更に旨味が増します。これさえ作れば数日立て続けに食べられるので、家庭のキッチンを守る女性にとってもメイン料理を作らずに済むので楽になります。

日本でも各家庭にある、こだわりのカレーみたいなポジションでしょうか。

動画やネットで検索すると、ロシア人やウクライナ人が紹介する「ボルシチ レシピ」がヒットします。今回は私がこちらにきて教えてもらったレシピで作ってみましたので、それをご紹介いたします!

「ボルシチ」にとって欠かせない食材は、『骨付きの豚肉』と『ビーツ』。

あと、ボルシチ特有の味のアクセントして使用するハーブの『ディル』です。

これ以外のものはカレーやその他のスープに使用されるフツーの野菜たちです。

工程がたくさんあり時間も手間もかかる感じなのですが、実際は食材をカットして焼いて煮ていく過程の中で、それぞれからエキスが出て旨味に変わっていくシンプルな料理で、味付けも基本は塩コショウだけなので、後からいくらでも修正の効くざっくばらんな気取らない家庭料理なのです。

まあそんな簡単なものだからこそ、奥深く飽きられない世界を代表するスープの一つなのかも知れません。

 

やっぱりハードルが高いと思った方はぜひ、以前ご紹介した「簡単なビーツのスープ」のレシピをCheck!

ボルシチに不可欠な「赤いあいつ」。簡単スープ料理をご紹介

冬の間地下室で眠っていた野菜たちが底をついてきて、新たに市場に登場するシーズンの始まる時期で、キオスクや露店のおばあちゃんの売り物ラインナップをみては、体が細胞レベルで新鮮な野菜たちを待っていたことを実感します。 ビーツはウクライナ語でブリャク(=буряк)と言います。ロシア料理で一番有名なボルシチはレストランなどで食したことがある方々は多いと思いますが、発祥はウクライナらしいです。 …

 

「ボルシチ」レシピをご紹介

 

では早速、調理スタートです!

 

材料 φ24cm 3.6ℓの鍋を使用

豚肉 (骨付きバラ)750g

玉ねぎ 2個

ビーツ 2個

じゃがいも 1個

トマト 2個

キャベツ 適量(1/4個〜)

にんにく 2~3粒(最後にすりおろし1~2粒)

ディル 適量

※スメタナ 『サワークリーム(仕上げ)水切りヨーグルトでもOK』

今回は人参を入れていませんがストックがあれば入れましょう。じゃがいもはお好きであればもう1個追加でも構いません。

※スメタナについては最後に説明します

 

1. ビーツを皮付きのまま固めに茹でていきます。大きめのものだと30~40分くらいはかかるかも知れません。

ビーツを茹でるタイミングはボルシチを作る少し前に始めて、冷ましておきましょう。

 

◇肉の準備です。

2. こちらではいつもこんな感じで売られていますが、これでもお肉屋さんで小さいものを選んでもらいました。

その骨つき豚バラ肉を骨を中心にして切り分けます。煮込んでいくうちに肉が縮むので、できるだけ大きめにカットした方が良いです。

 

3. 熱した鍋に油を少しひいて、肉の表面にこんがりと色が付くまで焼きます。臭い消しににんにくを潰して入れます。ジュージューこんがり豚の脂身から甘ーいホワーンとした香りが経ってきて、もうこの時点で齧りたい衝動に駆られます。

 

4. 大体適当に色づいたら水をザバーっと加えます。後から野菜を入れるので、それを考慮しつつお鍋の八分目くらいまで足していきましょう。

5. 肉は柔らかくなることと、骨からエキスが出るので出来るだけ長く煮込んだ方が美味しいです。今回は1.5時間くらい蓋をしてコトコト煮込みました。アクをささっと取り除いて、水分が減ったら水を足しましょう。

 

◇肉を煮込んでいる間に野菜を準備します。

 

6. 玉ねぎをスライスカットしておきます。

7. 先程煮ておいたビーツをすりおろしていきます。

8. トマトも皮付きのまま、ざっくりと角切りにします。

 

ビーツの色素はかなり強く、白い服を着て調理するのはやめた方がいいです。ワインや醤油のように色が付いて取れなくなってしまうので注意。擦っていた右手は真っ赤になってしまいました。よく洗ってもしばらく手に色素が残ってしまいます。。

 

一家に一台はあると思われるキッチンツール、すりおろし機。

ウクライナで一家に一台はあると思われる、使い勝手の良いすりおろし器はマストアイテムです。

安価なステンレスのシンプルな作りで、ハンドメイド感溢れるちょっと歪んだフォルムですが、逆にサクッと使えてササッと洗えて、切れ味も衰えないので使いやすいです。スライスと中小極小のすりおろしができます。大根おろしのようなガリガリが付いていないので、細かいそぎ切りに近いカットです。シリコン付きのものが日本でも売っていますね。

 

9. 肉を煮込んでいる鍋の様子を見てみます。

※ビーツの色を鮮やかに保つために、野菜類は炒めてから鍋に投入してもいいでしょう。味にそんなに変化はないので省略しても問題ありません。

肉が柔らかくなり十分に出汁が出ている状態だと思うので、玉ねぎを入れた後おろしたビーツも加えていきます。(人参があればビーツと同じように、こちらは生のまますりおろして鍋に投入)さらにトマトも投入します。

 

10. 30分~煮込んでいきます。豚肉のスープストックへ更に野菜の旨味を加えていく感じ。吹きこぼれない火力を調整し蓋をして、コトコト煮上がるまで待ちましょう。

 

11. クッタリトロトロを避けるために、最後に粗めの千切りキャベツと角切りにしたじゃがいもを加えていきます。

 

12. キャベツとじゃがいもに火が通ったら、塩胡椒で味を整えて、ディルと青ネギのみじん切りをたっぷり加えて完成です!

 

ウクライナ料理の定番ハーブ「ディル=Укроп(ウクロップ)」

ディルの味を伝えるのは少し難しいです。日本のスーパーでも売っているのを目にすることがありますが、特にサーモンとの相性が良いらしく、スモークサーモンの上に乗っている小さな細い葉がたくさんついたハーブは多分ディルでしょう。独特の芳香があり爽やかでスッキリした香りはウクライナやロシア料理の定番で、スープ以外にもサラダ全般・じゃがいも料理などに青ネギと一緒にふんだんに使われています。

 

お皿に盛ったらサワークリームと、これまた旧ソ連の家庭には必ずあるニンニク絞り器で、お好みの量の生ニンニクを加えます。

 

にんにくは匂いの問題もありますが、豚肉からとったスープなので相性抜群。できればすりおろしを少しでも入れると味に奥行きが出るので敬遠せず入れて欲しい!

これも定番のキッチンツール、にんにく絞り器。

これもウクライナでは欠かせないキッチンツールの一つです。

アルミニウムのような安っぽくて軽いメタルで、ヨーロッパ製のようなオシャレ感ゼロな実用的アイテム。単純な作りでにんにく専用なので、匂いも気にせずガシガシ使えます。こちらでは味付けがシンプルなものが多いので、アクセントに生のにんにくを薬味のように使うことが多いです。

 

最後にテーブルの上で自分の好みの量を入れる「スメタナ」について

ウクライナで定番の乳製品「スメタナ=Сметана」

ソ連アニメ「Простоквашино」猫のマトロスキン。メジャーな乳製品のキャラクターとして健在

こちらでは乳製品として欠かせないスメタナという食材があります。これは日本で市販されているサワークリームとヨーグルトの中間のようなもので、酸味があり油分も色々で%表示で売られています。サラダに和えたり、お菓子作りにも使われるポピュラーな食材です。サワークリームだと少し酸味が強すぎる気がするので、お手軽に水切りヨーグルトで代用すると合うと思います。

 

ボルシチ完成!

これでやっと完成です。 パンと一緒に食べますが、私は黒パンと合わせるのが好きです。作りたてはライトな味わいなので、塩やブラックペッパーを好みで強めに足したり、ニンニクを多めに入れたりして調整します。

スパイシーではないので、傷まないよう冷えたら冷蔵庫で鍋のまま保管します。

この工程が鍋の中でボルシチが育つ重要な要素なので、小分けにせずに寝かせるつもりで保存しましょう。次の日は味がグッと深くなっていて、旨味が強くなります。

今回作ったボルシチは最終的に3日かけて完食したのですが、3日目は時間の経過と、数回火を入れる工程が増えたので、もう赤いスープでは無くなっていたのですが、とろみが強くなった分さらに濃厚な味わいとなっていて、カレー粉を足すなど味変してみるのもいいかも知れません。ボルシチライスなんていうのもアリかもです。

日本では骨つき肉の入手が難しいかも知れないので、煮込み用の肉や薄切り肉でも代用できると思います。ただ、ボルシチなのでビーツは必要ですが缶でも大丈夫です。また、出汁が薄ければコンソメキューブなどを使ってもいいでしょう。

 

ロシア語で「Нормалино=ナルマーリナ」という、ニュアンス的には大丈夫、平気、みたいな意味で頻繁に使用する言葉があるのですが、ボルシチも「Нормалино!」美味しけりゃいいのです。

 

ウクライナ人は私が見ている限り「この料理はこのレシピ!」と知っている作り方しかしない傾向にあります。これは生活全般に言えそうなことで、やっぱり保守的な雰囲気は料理の作り方にも出ています。あくまで個人的に感じることですが。。

その点、日本人は色々な国の料理を日本流に上手に美味しくアレンジできちゃう天才なので、皆さんも型にとらわれない、アレンジボルシチを試して見てください。ボルシチは栄養満点で本当に美味しいスープです!

 

YouTubeにアップしたので、動画で確認したい場合はこちらをご覧ください!

ウクライナに移住した日本人がお送りする、「ボルシチレシピ」公開!

ウクライナの地方都市に住み、現地の生活をお伝えするCHANNELです。今回は代表的なウクライナ料理の「ボルシチ」の作り方をご紹介します!

 

最後まで読んでいただきありがとうございます!

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