コラーゲンの塊!ソ連時代から愛され続ける「ハラジェーツ」を堪能する。

コラーゲンの塊!ソ連時代から愛され続ける「ハラジェーツ」を堪能する。

気付けば2ヶ月も放置していたブログ、久々の再開です。陽が短くなり冬至を過ぎ、、、想像以上に冬眠状態となってしまい、せねばならぬ。ネムネム捗らず。陽が落ちる。。のループにはまっておりました。

さて気をとり直して、今回は年末年始や祝日に振る舞われる家庭料理の定番、肉の天然コラーゲンを抽出して作られる「ハラジェーツ」(もしくはハラジェッツ)をご紹介したいと思います。日本人としては、自然とプルプルになる料理の代表として魚の煮こごりがありますが、私自身は魚の出汁と醤油ベースの煮込んだ濃い味が冷えていること自体苦手で、長らく食べず嫌いになっており、甘くないゼリー状のハラジェーツも同じ感覚でちょっと嫌だな。という第一印象でした。

     しっかりと旨味が出て、とろりとしたコラーゲンたっぷりのスープ。これがゼリーになります。

 

ゼラチン質が取れる骨肉を煮込んでスープストックを作っただけではプルプルに固まらない可能性が高いので、料理のショートカットとして市販のゼラチンを加えるやり方もあるようですが、せっかくなのでカチッとしたプルップルのハラジェーツをエキスから作りたい!と思い立ち、初めて調理することにしました。年末年始で計3回作ったのですが、クリスマスには鶏肉、お正月は鶏と豚足のダブルスープで、3回目は村からもらった自家製の鶏肉で作りました。

 

ハラジェーツはロシア語、ウクライナ語ではハロードヌィ。

ハロードヌィとは「冷たい」という形容詞なので、脈略なくハロードヌィが食べたい!とウクライナ人に言われたら、だから!冷たい何を食べたいの?という応戦になりそうです。。

冷たいを表す言葉そのものが料理名なんて、如何に馴染み深い料理かがわかりますね。

  ウクライナでハラジェーツを作る場合は大抵このエナメルの蓋つき容器を使用する。年期が入ったソ連製の中古品。

肉の種類は「鶏・豚・牛」もちろん魚でも可能。

鶏ベースで作る場合に一番良いとされる部位は足です。相当にホラーなビジュアルなのでかなりビビるのですが、とりあえず手で触れないようトングで掴んで鍋に入れました。ただ、爪の部分は汚れがあるのかハサミでちょんちょん、文字通りちょん切るのですが、、これはどうしても直視できず、夫に処理してもらいます。それから、手羽先の先(鶏ガラ)もコラーゲンがたくさん出るので投入します。胸肉はパサつくので、もも肉や手羽元など煮込んでも柔らかくジューシーな部分を使います。

豚の場合、要は豚足。新年に作ったハラジェーツは豚足が1本ではゼラチン質が足りなそうだったので、鶏とのWスープで作りました。やはり豚足特有の匂いがこもる感じがあり、あっさりめで匂いもマイルドな鶏肉をオススメします。

      お正月に作った鶏と豚のWスープで色が濃い。煮た人参とパセリでデコレーション。

 

牛の場合はテールを使うようですがビーフ100%のハラジェーツはまだ試していません。イメージとしてはコンビーフを開けた時に牛脂と共に少しだけゼリー状の部分が見える、あのゼリーの寄せ集めな感じだと思います。特有の匂いさえなければ魚もあっさりしていて良いと思います。

 

レシピ:村の自家製鶏をメインに鶏肉のハラジェーツを作ってみる。

夫が、村に住む叔母に話したのかわかりませんが、年明けに村から届いた鶏肉の中に相当立派な足があったので、ハラジェーツをまた作ることにしました。

       自家製鶏の手は相当なサイズ感。たくさんの分量に見えますが、肉の半分は骨。

材料:

・自家製鶏 (足・胴体の上部からお尻にかけての部分・モモ)

・スーパーで買った激安の手羽先の先

・にんにく

・玉ねぎ

・人参

・塩粒胡椒・ローリエ

・ねぎ・パセリ・お好みでディル

・付け合わせに ХРЕН フリェン(西洋ワサビ)

材料は至ってシンプル。

        鶏の足を見ていると「火の鳥・宇宙編」の鳥人間・フレミル人を思い出す。。

 

まずは肉を鍋に入れて一回煮立たせ、肉の内部に残った血や汚れが出た水を捨てて、新たに用意した水の中へアクを洗い流した肉を戻してじっくり煮ていきます。白濁しないようにコトコトです。

煮込んでいくと薄っすらキラキラしたゼラチン質の膜が縁に寄ってきます。

その後、水が減っているようなら継ぎ足してローリエと粒胡椒、玉ねぎ人参・塩を加えてさらに煮込み続けます。玉ねぎはスープの為だけなので丸のまま、人参は材料となるのでトロトロになる前に取り出します。全体として6時間くらい煮込むなどの記載もありますが、様子を見つつ今回はトータルで4時間程煮込みました。

       水分がだいぶ減っている。肉はふんわりと柔らかくて既に美味しそう。

いかにもエキスが出たであろうスープが出来上がったら、若干濃い目に塩で味を整えて肉を取り出し、冷まして繊維状に細かく裂きます。関節部分にゼラチン質がくっついている場合があるので、それも肉に紛れさせます。

手羽先の先は少し乾かして片栗粉をつけて、揚げ料理にしました。

容器に肉を敷き詰め、細かく刻んだ人参に青みも加え、その上にスープを注ぎます。破片の骨があるかも知れないので、小さなザルか濾し器を使ったほうがいいでしょう。冬場は寒いベランダにしばらく置いておき、冷めたら冷蔵庫へ移します。食べる前日に調理して一晩冷蔵庫で冷やします。

      取り出した肉はサキサキする。自家製鶏は脚の肉の色が濃い!

 

ハラジェッツがなぜ祝日や記念日に食べられるのかの考察。

長い煮込み時間・更にそこから冷やし固めるという工程をたどる為、前日から仕込みが必要な料理。誰かのために、特別な日に振る舞われるということが実際に調理してみるとよくわかります。

このシンプルかつ手間暇かけた料理に特別感が湧くことは確かですが、骨から出たエキスの旨味が強く存在感のある一品として食卓を豊かに演出することができます。その上お酒のアテにも合うので、旧ソ連国で野菜が少ない冬のご馳走として定着したのではないかと勝手に想像しました。同じような料理はその他の国でもありそうですね。スープにしっかりとゼラチン質が出た後、煮込んだ骨の周りについている肉をほぐしてそのゼリーで固めるので、大きな塊肉である必要はなくスープの量でカサ増しできるので経済的。地方に住んでいて裕福ではなくても少ない材料で調理できる、高コスパな料理であることは間違いないです。

   ビーツで着色された西洋ワサビは綺麗なソースの役割になり、ビジュアル的にもいいですねえ。

 

大切なのはハラジェーツの味。そして肌にも良さそう。

使用する肉のコンディションにもよりますが、新鮮な肉を使ってニンニクを加えるので、基本臭みはなく癖もないのでほとんどの人が美味しく感じるはず。ただ、豚足は豚の匂いが若干あるので、気になる方は鶏か牛のハラジェーツがオススメです。

一般的に売られているХРЕН。瓶詰めもあります。ビーツの着色が綺麗でこのBEPECが一番好き。

私がハラジェーツを好きになったのは、ХРЕН=フリェン(ウクライナ語でХРIН)という西洋ワサビとの相性が抜群だったこと。スープストックの旨味と、ほぐされた肉にたっぷりのフリェンがゼリーと口の中で溶け合い、鼻に抜ける心地良い辛味が豊かで幸せな気分になります。時間をかけて作った甲斐があったなあ。という満足感もあります。

綺麗な色味の肉のゼリー寄せや、テリーヌのような美しいムース状のおしゃれ感はありませんが、牧歌的で庶民のために考えられたレシピという趣きでそれがとても美味しい。ヨーロッパのハイセンスな雰囲気とは違う、実直で素直な雰囲気があります。

     一番上には脂味が白く固まっていますが、冷えているせいもあってかギトギト感はない。

美肌効果あり?!

また、冬場の乾燥で目の周りがカサカサしていたのですが、このハラジェーツを食べた翌日、明らかに皮膚が柔らかくなってカサカサがふっくらしていたので、コラーゲンの塊として確実に肌への効果はありそうです。ただ、天然成分なので即効性はありそうですが持続力は弱そう。肌のことを考えると頻繁に食べる必要がありそうです。

安い鶏ガラが手に入ったら、ガラと一緒に骨つき肉を煮込んで味を整え、たくさん作らなくてもプリン型などに入れて冷やし固めれば、旧ソ連から続くレシピが日本でも簡単に再現できます。

 

その際は是非ワサビを忘れずに!柚子胡椒でも相性バッチリな気がします。

 

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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今年はもう少し頑張ってブログに記事をアップできるようにと思っているのですが、、、

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